皆さんの生まれ育った環境には、人に応じて様々なアイテムが存在していたと思います。例えば私の場合、父親が鉄道模型=Nゲージの収集を趣味にしていて、物心ついたころから部屋の中にミニチュアの線路が引かれている状況にありました。小さいころ、父が休みの日には一緒に線路を組み、Nゲージを走らせていた思い出があります。
このように育った環境の数だけ、人それぞれに色々な思い出があると思うのですが、先日大学のサークルの飲み会で、ちょっと変わった経験をしている子と出会いました。
その子は信州地方の大きな農家の出身で、家はその地域の「名代」を務めるほどの名家だそうです。そのせいか、その子が生まれ育った家には、「お座敷」と呼ばれる部屋が数十あり、その内の特に奥まった部屋には大きな金庫があったそうです。
その金庫はどうやら先祖代々で引き継がれてきた品らしく、その子の家ではとても大事にされていたのだとか。
そして、そういう状況で育ったせいか、自身も「金庫好き」としての趣味を持つようになってしまったらしいのです。「下宿先の部屋に自分で買った金庫を置いたら部屋が狭くなってしまって困った」というようなことをその子が話していましたが、一人暮らしで部屋が小さくなってしまうような大きな金庫を購入してしまう時点で相当な変り者です。
人は生まれ育った環境が、いわば「原風景」として心の中に残り続けるものとは言いますが、本当にその通りだと思った私なのでした。