初出勤で金庫の暗証番号を教えられたんだけど。

僕の姉は元々数字が好きで、中学・高校の数学の成績は常に学年トップでした。これとは対照的に僕は数学が苦手でしたので、一度「どうやったら姉さんみたいに数に強くなるのさ?」と聞いたことがあります。すると本人からは、「別に何かコツがあるわけじゃないわ。私が何となく数字が好きだから、何となくいっぱい勉強して、何となく成績がいいだけよ」との答え。
要するに、生来の素質というか、元々数学好きになるように生まれついたんだなと、当時僕は思ったものです。

高校卒業後の姉は、当然のように国立大学の経済学部に進学。数学以外の成績は普通でしたが、そこは推薦入試の効果もあってか、数字の成績の良さで突破した様子です。
こんな姉でしたので、就職の際はやはり自分の特技を活かして経理系の職場を見つけて就職していました。彼女が就職活動していた時期には、僕も大学に入学していましたので、姉の「数学以外は割と不器用」という性格面の欠点も分かっていたため、「人間関係が上手くいける職場になるといいけれど」と心配をしていましたが、どうやら今のところは大丈夫なようです。

ただ、姉が初めて出勤して帰宅した日、晩御飯の時に「初出勤で金庫の暗証番号を教えられたんだけど。わたし、色々と大丈夫かなぁ?」と言っていたのにはビックリしましたし、こちらも心配していましたが、どうやら単なる危惧で済んだようです。
まぁ、「新人に最初から金庫の暗証番号を教えるのは非常識ではないか?」と僕も思いましたが、その分姉を信用してくれているということだろうと無理やり自分を納得させた記憶があります。